書き散らし

なんでも書き散らします。

喫茶店日記その2 喫茶店のコーヒーは眠気を覚ますか?

 某試験まで残り一ヶ月を切った数少ない貴重な休日。図書館で勉強でもするかと自習室に向かったがいざ勉強を始めると眠気に襲われてどうにも集中できない。

 勉強することは苦手ではなかったはずなのにと絶望しながら早めに切り上げ自習室を出る。そのまま家に帰っても眠気を理由にごろごろしてしまうことは自明である。

 そうだ、カフェに行こう。

 良質なカフェイン入りのコーヒーを飲んで集中力も気分も上げて勉強のモチベーションを保とう。

 

 そんなわけで訪れたのは図書館から車で5分ほどのカフェ。住宅街の奥にあるため、気軽に周辺を徒歩で散歩できるご近所さんか何らかの形で前情報を知るかしないと出会えない立地のカフェだ。

 三角屋根の一軒家を2棟くっつけたような外観でこじんまりした入口。建物のカラーは住宅街に馴染むくすみグリーンとアイボリーのツートンカラーだ

 入ると仄かな珈琲の匂いと高い天井。カフェスペースは奥で手前のスペースは珈琲豆やケーキなんかを売っているちょっとしたショップになっている。

 店員さんに「お好きな席へどうぞ」と言われ、カフェスペースへ。間接照明の灯る落ち着いたテーブル席と自然光いっぱいの開放的なカウンター席。その日の気分に合わせて席を選べるようだ。

 カウンター席を選び、窓の外をぼんやりと眺める。見えるのはお隣の公園。今日のお天気は曇りで辺りは薄暗く、少し外に出ただけでも底冷えのする寒さだ。それでも元気に外で遊んでいる親子がおり、子供には寒さなんて関係ないなとしばしその様子を眺める。 

 今回は「苦味」を特徴としたブレンドコーヒーを注文。コーヒーが来るまで少しでも勉強を進められたらと思ったが鉛筆と消しゴムを取り出して書き書きゴシゴシするのはナンセンスな気がしたので参考書を読むくらいに留めておく。

 春を感じさせる淡いピンクのパッケージに包まれたクランベリー風味のビスケットと共にコーヒーが運ばれてきた。薄口で飲み口が広く、底に向かうにつれてスリムになっていく形状のカップ。浅煎りのコーヒーのようだと思ったが深煎りだ。

 まずは一口目。

 苦味はあまり感じない。水のようなクリアな飲み心地にほんのりフルーティーなコーヒーの風味。喉を通っていく時に軽やかな苦味を感じ、後味にもそれが残る。

 二口目。ビスケットと一緒にいただく。

 ほのかにベリーの風味がするだけであまり主張の激しくないビスケットがコーヒーのまろやかさを引き出す。しばらくコーヒーとビスケットと交互に味わうことを楽しむ。

 少しコーヒーの味に慣れてきてしまったかなというところで水を挟んで口の中をリセットさせる。この頃にはコーヒーも冷めてきて、すっきりした酸味が出てきた。

 さて、勉強の方はどうなったかというとちょうどカフェの本棚に日本国憲法小学館アーカイブス)を見つけてしまった。

 何らかの思想を持っているとか専門的な勉強をしていたとかではないのだが、勉強している某試験の内容と絡んで最近日本国憲法に興味を持っていた。せっかくなので手に取ってみる。

 私は学生の時は社会に関心が全くなく、政経より倫理の方を魅力的に感じて倫理ばかり勉強していたので政経はさっぱりだった。その性格が今の冴えない生活にも影響しているのだが、ここ最近はようやく経済や法律に興味を持ち、社会に目を向けられるようになってきたと思う。

 学生時代に政経で習った政治の運用ルールって全部日本国憲法に書いてあることだったんだなとか、仕事でもマニュアルを使うことが多いけど日本国憲法も国を運営していくうえでのマニュアルのようなものなんだななどと知ったようなことを考えながら目を通す。

 大きな字とわかりやすい注釈、様々なジャンルの写真も挟まれていたので1時間弱で飽きることなく読了できた。巻末にはそれぞれの写真がどこで撮られたものかも載せられていて写真の部分だけもう一度じっくり見返した。

 コーヒーは既に飲み終えているがまだこの空間にいたいと思いまたぼんやりする。ふと、何気なく聴き流していたBGMの旋律がショパンの有名なノクターン(Op.9-2)に似ていることに気づく。原曲より音の装飾が多くリズムも変則的だが大元で聴こえてくるのがノクターンのメロディーなので恐らくアレンジなのだろう。

 ノクターンが終わったら次は渚のアデリーヌが流れてきた。ピアノソロではなく裏で軽快なリズムを刻むベースのような音が聴こえるのでこれもアレンジなのだろう。

 私は音楽に特に詳しいわけではないのだが一時期好きでよく聴いていた曲たちなので嬉しい。最後まで聴き終えたところで名残惜しいが席を立つ。

 帰りの車ではSpotifyでクラシックのプレイリストを再生する。まるでまだカフェでのゆったりした時間が続いているようだ。

 リフレッシュできたカフェタイムだった。眠気はほんのり残っているが家に帰ってもモチベーションを保って勉強することができそうだ。

 そんな、何気ない今日の喫茶店日記である。

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